ONE MEDIAの編集長を退任して

ヒキタマリ / 疋田 万理
7 min readJul 17, 2019

退職してもう2ヵ月。最終出社日からは約3ヵ月にもなる。

何度もブログを書こうか迷って、書いては消し、書いては消した。同じタイミングで、BuzzFeed Japanの古田大輔さんが創刊編集長を退任したこともあって、メディア界隈で変化の大きい初夏だったと思う。

そんな中、昨日Forbs JAPANからONE MEDIAの新規事業のリリースが配信され、自分の名前が記載されているのを見つけた。

そして、BUSINESS INSIDER JAPANの西山里緒さんが記事と共に、こんなツイートをしているのも見つけた。

この最後の一文を見て、やっぱりブログを書こう、と決めた。

「情報がアクションにつながる」というのは、私は一番大切なことだと思っていて、それはずっとONE MEDIAで私がミッションとしてきたことだった。

「アクションにつながるような情報を届けること」

ONEのコンテンツを見たから、コンビニでプラスチックストローもらうのやめた、「男らしくない」とか言うのやめた、「メンヘラ」って単語つかうのやめた。などなど。

ただ情報を発信するだけでなく、アクションまで想定すべき、ということを常に頭に置いていた。

西山さんの一言はめちゃくちゃ嬉しかったが、正直に言うと、ジャーナリズムという言葉を前はかなり固く捉えていた。「自分は正しい」と思いこんでる人たちが「正しい情報」を「正義感」をもって伝えているんだろう、そんな風に思っていた。

でも、VICE共同創設者のSuroosh Alviは、

https://www.hbo.com/vice/cast-and-crew/suroosh-alvi

「今の時代、スマホを持っている人全員がジャーナリストだ」と発言していた。Twitterで実況中継したり、Instagramのストーリーでどこかの現状を配信していたり。

それを聞いて、いい意味で私の中での ”ジャーナリズム” というものは大きく広がった。

ONE MEDIAはファクトのみを報道するジャーナリズムというより、ファクトによる当事者の感情を反映した、ジャーナリズムだと思う。ここにかなり注力した。ただ情報を届けるだけでなく、いかに ”感情をゆさぶるか”、ニュースを感じてもらって、アクションにまでつなげる、というのをONEでは重要視していた。

そして、半期ごとに伝えたいメッセージを変えて、常にオーディエンスをリーディングしていけるようにしていた。

あと他に2つ、ONEで注力していた点は、クリエイティブの統一とコミュニティの形成。

ONEから出るすべてのコンテンツの、ムードやトンマナと統一するために、ムードボードをつくり定期的にアップデートして社内共有していた。

ムードボードをつくって、言語化できないレベルの「なんかちがう」を解消することがかなりできたように思う。

インスタ世代の私たちは一瞬のビジュアルで、見るか見ないか、を決めている。まずアテンションをきちんと掴めるような、そしてブレないトンマナを持ち続けることが重要だった。

そして、最後のコミュニティ。これはONEの財産であると思う。ONEのビジョンやミッションに共鳴してくれた人たちが出演や撮影OKをしてくれていたので、ただ数字のフォロワー数やエンゲージメントが高いだけでない、同じ方向を見ている人たちをたくさん繋げて、そして繋げてもらったと思う。

なんか社会のためにしたい、でもアクティビスト!と言えるほど活動はしていない、専門家でもない、でも問題意識を持っている。若い人たちにも、もっと知ってほしい。難しくなりすぎずに、ちゃんとリアルに自分らしく伝えたい。

そんなメッセージやオピニオンを持った素敵な人たちと一緒に仕事ができたのは最高だった。それに、ONEのミッションの「目の前の一人のために」ということを体現して、メンバーも出演者一人ひとりをすごく大切にしていて、愛のある、思いやりのあるコミュニティができていた。

ブランディングや信頼性は、細部に宿る。そう信じて、表現の一言一言の単語の選び方、キャスティング、テンポやBGM、カラーやたった1秒出てくるイラスト、すべてのチェックを厳しく、メンバーと何度も何度も議論しながらブラッシュアップした。

広告コンテンツも、だれのために、どんなメッセージがあるのか、どんな新しい知識を届けられるのか、どんな思いやりを届けられるのか、常に向き合った。

今後のメディアはどうなっていくのか。

マスメディアは真の報道ができていない、すべてを伝えられているわけではない、と内部の人は悔しそうに言い、若い人たちはそれに気づいている。

インターネットメディアもマネタイズの困難性やスケールの難しさに直面し、持続可能なジャーナリズムの方向を探している。

そして私たち、オーディエンスは毎日SNSでイイネやコメントをすることでアルゴリズムによって、徐々に自分の世界を狭めているのかもしれない、そしてそれに気づくこともないのだ。

合理性を極めていくことが必ずしも人類を進化させているのか、社会として機能する上で善い選択なのか、私にはわからない。

ただ真の中立な報道をするメディアへのニーズが高まることや、今回の参院選のようにたくさんの議論が飛び交うこと、影響力のある方々も政治的発言を少しずつし始めたこと、はかなり進歩であると思う。

ちなみに、なぜ私がnoteではなく、MEDIUMをブログサイトとして選んだのかというと、Twitter共同創業者であり、MEDIUM創業者の Evan Williams もニュースの消費のされ方にすごく危機感を感じていて、MEDIUMのようなプラットフォームでもあり、アルゴリズムもTwitterなどと違うサービスが今後は重要になってくると信じているからだ。

みんなも思うことがあったらTwitterの140文字だけでなく、時にはブログで長文を書くのもいいかもよ、と思う。

以上。

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